こんにちは、福岡創業サポートセンター(社会保険労務士法人サムライズ)です。
先日、運転手27人がタクシー会社を相手に残業代の未払いを求めた訴訟で、京都地裁から会社側に1億500万円あまりの支払いを命じる判決が出されました。
そのタクシー会社では基本給に加え営業収入に応じた手当を支払っており、会社側はその手当を残業代であると主張していました。
今回の判決で、「基準外の各手当(会社側が残業代と主張している手当)は月間の営業収入をもとに算出されており、書面でも時間外労働に対する対価である記載はない」として、未払いの残業代等を支払うことを命じています。
残業代の未払いを防ぐために使われることが多いのが「固定残業代」の導入ですが、こちらも注意点があります。
①適切に計算を行っているか
固定残業代の算出は通常の残業代と同じ計算方法になりますので、基本給に加え、固定的な手当についても含めて計算する必要があります。
通勤手当等一部の手当については含めませんが、「資格手当を含めずに計算していた」といった場合、未払いが発生することになります。
②固定残業代の時間数を明記する
固定残業代を導入する場合、従業員へ渡す労働条件通知書に「月●時間分 ○○円」と明記する必要があります。
また、ハローワーク等の求人に掲載する場合も何時間分でいくら支給するのか明示が必要となりますので、導入の際は計算を間違えないように留意しましょう。
③固定残業代を超えた時間分は追加で支払う必要がある
固定残業代は「月●時間分 ○○円」と決めて支給しますが、従業員がこの●時間を超えて時間外労働をした場合には、別途残業手当を支給する必要があります。
「固定残業代を出しているから大丈夫」というわけではありませんので、従業員の勤務時間はしっかり把握しましょう。
福岡創業サポートセンター(社会保険労務士法人サムライズ)では、引き続き人事労務に関するトピックをご紹介してまいります。
《参考》
NHKニュースWEB:タクシー未払い残業代求める裁判2社に計1億円余支払い命じる(2021年12月9日)